仕立てにるには人数が足りず、でも7、8名の参加希望者がいたときに、「では、片舷を林さん達でお使いになって下さい。どっち舷にしますか?」と、乗り合い船の片舷の釣り座を仕立てとして用意してくれた船長がいました。

釣り座は右舷にし、そのありがたいお話しを参加メンバーに「例の仕立ての件ですが、船の右舷側を船長が押さえてくれました! 先着順で当日、乗り合い船の右舷の釣り座でお会いいたしましょう!」と伝えたのでした。


迎えた当日、幹事の僕は早目に船に到着し、釣友が舳を、僕は舳2番の釣り座に並んで入り、後のメンバーを持っていました。

その次に来た人が「艫に入るね~」とタックルを置き、舳側からもう一回振り向くと、胴中には見慣れない釣り人が・・・

そう、僕らの仲間ではないお客さんが右舷に入ってきたのでした!


「おいどうする? 船長と打ち合わせしたんだけど、右舷側は俺らの貸し切りの筈なんだけどなぁ・・・、どうしよう・・・」と、釣り座に関しての出船前のトラブルはあまり気持ちの良いものでは無いので、船長に電話してみることにしました。


りょう:あの~、船長、僕らで貸し切りにしていただいた右舷なんですけど、知らない人が入っているんですよ、どうしたらいいですかねぇ?

船長:知らない人? なんだ、知らない人が入ってるの? しょ~がねぇ~なぁ~、俺ももうすぐ船に着くから、(俺から)言ってやるから。

出船前の釣り座トラブルは避けたいもので、その方には当日の右舷のこと、船長がもうじき来て釣り座のさい配をしてくれる、ということだけ告げて船長を待っていました。


しばらくして、船長が船に乗ってきて、先ず僕らがいる右舷に来てくれました。

そして、「林さん、どの人」と聞いてくる船長に、「あの胴中の人が、僕らの仲間じゃなく、知らない人なんですよ」と伝え終る間もなく、踵を返した船長はその方に向って大声で・・・

「あの~、そこの知らない人、知らない人ぉ~~!」と、指をさして近づいて行ったのでした!!


僕らは・・・

座って、下を見ながら、仕掛けを用意しているフリ、をしているのが精一杯だったのでした・・・