スルメイカ釣りによく行っていた頃、18本のガス巻きスッテ仕掛けを使い、竿は短く太い電動スルメイカ専用竿、だがしかし、リールは手巻きのジギングリールにこだわっていたのでした。
主に東京湾内でのスルメイカ釣りでしたが、足の早いスルメイカの向こうを張ろうと、ソナーと魚探とを交互に見やる船長は、スルメの進行方向に群がる様に集まる他船にも気を配りながらの操船をしていました。
その日は、船中に張ったロープに沖干しがズラリと並ぶ好釣果で、帰港の途中、先に干したものから、良い塩梅に生干しになったスルメを取り込んでいた時でした(ちなみに肝はクーラーの中で塩漬けに、翌日、沖干しと合わせて塩辛に仕込むのです)。
船はレインボーブリッジ近くを航行中、操舵室のすぐ後ろで僕は、しゃがみながら表を上にして10枚の沖干しを、その上には裏を上にした起き干しを自分の前に重ね、30枚目を重ねようとしたその時、踵が10cm程浮くような物凄い振動に襲われました。
船長はすぐにスロットルを戻し、ギアは中立に・・・
夕暮れの隅田川河口に、操舵室後部の小窓越しに僕に注がれる船長の、鋭さと疑問入り混じった目線・・・
「何ですか今の激しい振動は?」と、だれ彼ともなく囁く船上で、1人年輩の釣り人が「ペラ(スクリュー)が折れたんだよ」と一言。
船長の指示で僕がスロットルを握り、ギアを一瞬繋いでは戻す動作をしているなかで、スクリューを見ることが出来る、船底の小窓を凝視していた船長からストップの合図、「羽根が1枚飛んじゃってるよ」と、怒るような困ったような顔をする船長・・・
「でも、航行中に高回転しているスクリューの羽根が、何だかの理由で折れ飛ぶと、それが船体に当たった場合は沈没の危険さえある」とは、先にペラが折れたと言った年輩の釣り師の方でした。
その日は極低速で桟橋に戻りましたが、後日聞いたところによると、振動でエンジンの位置がずれてしまい、少しずつ浸水していたとのことでした。
スクリューはきっと、金属の塊から削り出しのワンピースで出来ているとは思うのですが、金属疲労だったのか、それとも水中の浮遊物か何かにぶつかったのか、原因は何だったのか分かりませんが、その時は、見当違いだったかも知れませんが「折れた1枚の羽根が欲しいな」と思ったものでした。
長年魚を追い続ける為に、船長の操船に従順に回転を繰り返していたその羽根を、何故か愛おしく思ったものでした。
主に東京湾内でのスルメイカ釣りでしたが、足の早いスルメイカの向こうを張ろうと、ソナーと魚探とを交互に見やる船長は、スルメの進行方向に群がる様に集まる他船にも気を配りながらの操船をしていました。
その日は、船中に張ったロープに沖干しがズラリと並ぶ好釣果で、帰港の途中、先に干したものから、良い塩梅に生干しになったスルメを取り込んでいた時でした(ちなみに肝はクーラーの中で塩漬けに、翌日、沖干しと合わせて塩辛に仕込むのです)。
船はレインボーブリッジ近くを航行中、操舵室のすぐ後ろで僕は、しゃがみながら表を上にして10枚の沖干しを、その上には裏を上にした起き干しを自分の前に重ね、30枚目を重ねようとしたその時、踵が10cm程浮くような物凄い振動に襲われました。
船長はすぐにスロットルを戻し、ギアは中立に・・・
夕暮れの隅田川河口に、操舵室後部の小窓越しに僕に注がれる船長の、鋭さと疑問入り混じった目線・・・
「何ですか今の激しい振動は?」と、だれ彼ともなく囁く船上で、1人年輩の釣り人が「ペラ(スクリュー)が折れたんだよ」と一言。
船長の指示で僕がスロットルを握り、ギアを一瞬繋いでは戻す動作をしているなかで、スクリューを見ることが出来る、船底の小窓を凝視していた船長からストップの合図、「羽根が1枚飛んじゃってるよ」と、怒るような困ったような顔をする船長・・・
「でも、航行中に高回転しているスクリューの羽根が、何だかの理由で折れ飛ぶと、それが船体に当たった場合は沈没の危険さえある」とは、先にペラが折れたと言った年輩の釣り師の方でした。
その日は極低速で桟橋に戻りましたが、後日聞いたところによると、振動でエンジンの位置がずれてしまい、少しずつ浸水していたとのことでした。
スクリューはきっと、金属の塊から削り出しのワンピースで出来ているとは思うのですが、金属疲労だったのか、それとも水中の浮遊物か何かにぶつかったのか、原因は何だったのか分かりませんが、その時は、見当違いだったかも知れませんが「折れた1枚の羽根が欲しいな」と思ったものでした。
長年魚を追い続ける為に、船長の操船に従順に回転を繰り返していたその羽根を、何故か愛おしく思ったものでした。
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