それは、「二級ポイントの中の一級ポイント」という考え方なのですが、番組の中でその漁師は高性能ソナー、レーダー、海水温を広域で見ることのできる最新機器を6千万円をかけて船に装備し、一瞬の判断を間違えば、命をも左右しかねない漁に毎日臨んでいたのでした。
そういった最新機器を使いこなすことはもちろんなのですが、年間で2ヶ月のみ自宅に帰るれる休暇中でも近隣の寺社などを回り、豊漁と安全を祈願して御守りをいただいてきて出漁の時に船に持ち込んでいて、その数たるや十や二十ではないといった側面も持ち合わせているのです。
釣りでもそうなのですが、「今日はこのポイントだろう」と向かうが芳しくない釣果の時もままあるもので、毎日のように沖に出ているプロの船長をしてそうなのですから、自然の移ろい、対象とする魚の全てを想い計ることは非常に難しいと言えるのではないでしょうか。
そんな中、漁師でも遊漁船の船長でも、一級ポイントでは船同士が多く、ゆえに魚に対してのプレッシャーも高く、操業し辛い一面も想像できます。
遊漁船では、例えば夏のタチウオ船団の場合などは食いダナが浅く、船の音、船の影が真下にいるタチウオに密接にかかわる環境にある場合など、魚探で群れを見つけてのリバースギアの音、船体を震わすスラスターの音、細かくは魚探のパルスの発信音にさえも気を使う船長もいらっしゃいます。
そんな船長の真横に大きなリバースギアの音を立て船を停止させ、スラスターをかけられてしまうと、水面下にいたタチウオの群れは沈下、警戒するのか食い方もてき面に下がってしまいうことがあります。
そんなときは、船団が出来ている一級ポイントを脱して周辺海域をくまなく捜索し、群の規模は小さいながらも高活性なタチウオを見つけて、大船団を横目に二級ポイントの中の一級ポイントで1人勝ちなんていうことを経験したことがあります。
カツオ漁師も搭載している最新機器を駆使し、僚船が操業している遥か遠方の漁場を導き出し、ライバルが誰もいない場所で1人勝ち、毎年日本一の水揚げを競っているそうです。